●日 時:9/26(日) 14:00~16:00
●テーマ:映画「選挙」を観た感想 http://www.laboratoryx.us/campaignjp/
*事前にamazon prime videoなどで視聴。
●会 場:Skype
●主な流れ:
前半は、一人づつ映画の感想を話した。ドキュメンタリー作品ならではの生々しいやりとりから感じた違和感がいくつも挙げられ、共通するキイワードが浮かび上がった。
後半は、自民党総裁選挙や、本日のドイツ総選挙の行方など、選挙に関する雑談が交わされた。
●次回予定日:10月24日(日)14:00~16:00。
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<映画から浮かび上がったキイワードと、主な発言録>
「選挙制度がおかしい」
・帰国時に中学の友人が立候補した市長選挙に遭遇。朝7時にもかかわらず大きな音を流していて、ドイツでは考えられないと思った。
・映画を観て、選挙運動は誰もハッピーじゃないと思った。選挙制度がおかしい。
名前だけ連呼する選挙カーはうるさいだけで必要なのか? 以前、危篤の人がいて、選挙カーにうるさいので静かにしてと言った。
・最高裁判所裁判官への(信任)投票があるが、ドイツ(在外投票)では選べない。裁判官の情報がないし、あっても個人のジャーナリストの有料ブログだったりする。
「対話しない候補者」
・選挙期間中は議員と直接対話できるので、街頭演説に出掛けることにしている。それを現在住んでいる千葉で、自民党候補者にしたところ、秘書から止められ、話ができなかった。政治家が市民との対話を拒絶する理由が理解できない。
・日本とは異なり、ドイツでは話を聞きたい人が後援会を作る。
「男尊女卑」
・映画では、奥さんが仕事を辞めなくてはならず、男尊女卑で理不尽。
・家内に「お」をつけるだけで「おっかない」になり、演説会で笑いを取れる。そんな理由で妻を「家内」と呼ばせるシーンに、男尊女卑を感じた。
・(日本の地元の)町内会の宴の席では、必ず女性が配膳する。女性が男性と同じように何もせずただ座っていようとするものなら、男性からではなく年配の女性から怒られる。こうやって次の世代へと、男尊女卑は習慣として受け継がれているように思う。
・未だに、男性は上座、女性は下座。
「古い価値観」
・2005年公開の映画だったが、もっと昔の話に思えた。なぜ古いと思ったのか? 服装もそうだが、話されている内容がとても古い価値観を基にしていたからだと思った。最近の選挙も大して変わらないのでは? 地元で先日あった横浜市長選挙では、なぜ自民候補が落ちたのか? 投票率約50%、投票所は長蛇の列で、いつもの時に比べて関心が持たれていた。
・新興住宅地などの新住民や若い世代が多く投票したからでは。それをきっかけに菅退陣につながった(国政を動かした)。
・何代も続いている家などでは、(古い価値観は)特に変わることはないだろう。社会の成長に暮らしの中の成長がくっついていないと感じる。
・山本太郎、立花孝志は、全く違っていたから、叩かれ潰そうという力が働いている。
「挨拶回り」
・映画の中での支持者への挨拶回りを観て、昔先夫の義理の母親の買い物に付き合わされ、「うちの嫁です」と紹介され連れ回されたことを思い出した。
・以前住んでいた田舎で、自民党女性議員候補が人が集まるところに出かけて行き、お茶汲みして回るだけで、マニフェストは一切なかった。政策など中身は全く必要とされていない。
「立候補者に求められるものとは?」
・選挙って何なのか? どうして映画の主人公は、縁もゆかりもなかった川崎の選挙に出馬したのか? 映画では、政治の素人なのに、ただ単に東大卒だっただけで、自民党が見つけてきて組織を使って当選させて、自民党の議席を確保する姿が描かれていた。私たちは肩書きで選びがちではないか。その人がどんな活動をしてきたのかを見極める必要があると思う。
・映画では主人公に常に張り付いて指図していた山際さんが印象的だった。彼は主人公には高圧的な態度だが、支持者の前ではペコペコし、その場に応じてカメレオンのように言うことや態度が変わる。東大卒の獣医で博士で、全く政治とは関係ないのに議員をやっている。
・東大卒だということが大きな理由で、勝った主人公。その人に投票した川崎市民の人たち。40年住み続けて選挙に立候補したが負けた女性候補者。肩書に弱いのは日本人の特徴だろうか? 代々続く家業や寺など、それが足かせとなって苦境に立たされた人々のドキュメンタリーと重なって、深く考えさせられた。組織内の上下関係が体育系、と話す主人公と、実際に元オリンピック選手の政治家から励まされていた場面が笑えた。
「勝ち馬に乗る(寄らば大樹の陰、長いものに巻かれる)」
・なぜ自民党支配が続くのか? 自民党王国の富山では、勝ち馬に乗る(寄らば大樹の陰、長いものには巻かれろ)という心理が常に働いている。政治的に常に権力の側に立つことで、優位な立場を保とうとする。何が正しいかではなく、体制側が唱えることを鵜呑みにして、決して異議は唱えず従い続ける。そうすれば万事うまく行く。そんな心理が自民党を支え続けていると思う。
「ドキュメンタリーの持つ力」
・以前(2017年)、自民党の富山市議会議員が汚職で大量に辞職する事件があって映画化(題名「はりぼて」)されていたが、それを報道した富山のテレビ局職員は左遷され辞職したことがあった。
・全国的に話題になった事件で、自民党議員を総入れ替えする規模(12人が辞職)の大騒動に発展した。しかし、辞職出直し選挙をしても自民党は議席を守った(選挙前より1議席増やして過半数を維持)。仕組みは揺るがないまま、何十年も続いているし、戦後から未だずっと続いているのかもしれない。
(参考:https://www.nippon.com/ja/currents/d00369/?pnum=1 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/638260/)
・映画「選挙」は、毎回国政選挙があるたびに多くの人に観られるといい。選挙前にインターネットで期間限定無料配信されたら嬉しい。描かれている構図は、今も、そして今後も変わらずに続く構図だと思うし、多くの人が知るべきだ。
「教育の重要性」
・個を重んじ、一人一人が自分の意見を持って自律できるように教育するドイツ。和を重んじ、集団からはみ出さないように教育する日本。その違いが選挙での投票にも表れているのではないだろうか。
・(全体主義から再出発した)同じ敗戦国でありながら、政治状況が180度異なっている原因は、教育にあるのかもしれない。金髪の若者も、就職活動では再び黒く染め直して、再び社会の枠の中に自らはまっていく。親戚付き合いの中にも(押し付けが)ある。家庭の中のあり方こそ大事だと思う。
「組織票による当選を変えるには」
・映画の中では主人公が勝ったが、それは個人への票ではなく、自民党への組織票で当選した。地縁や古いしがらみに縛られない新興住宅地では、政策本位での投票が可能だと思う。投票に行かない新興住宅地の人が、投票に行くことでしか変わらないのかもしれない。
・(今の古い価値観は)若い世代に交代し、いずれ変わると思う。子どものことを考えると、選挙に関心を持つようになる。(本人補足:私の世代(30代)、特に子どもを持つ親たちは、必然的に市の政策や国政に関心を持つことになります。がそれが実際の選挙と結びつかない。そして選挙は立候補者という人に自分の選択を落とし込まないといけないところに難しさがあります。最低限、各政党の政策や主張、歴史を理解しておきたいですが、それも自分から取りに行かないと自然と耳には入ってこない。もっと大人たちがオープンにフランクに政治について語る場を持って、それを横で子供達が見て育っていく。それが理想です。)
・男性の時代が終わりに近づいていると思う。これまでは女性は稼いでこなかった(ので男性に従属せざるを得なかった)が、今では男性より稼いでいる女性も増えている。意識が変わってきている。
・多数派が意識を変えて行くきっかけが大切。緑の党のルーツには(有名BIOブランドの)ラプンツェルがある。(それもあって政策に生活者目線が生かされ、生活者からの支持を集めて、緑の党は始まった。)生協や生活クラブの活動を通じて、日本でもきっかけが生まれるかもしれない。
・生活クラブの集まりで、政治のことを話す機会は目にしていない。
・生活クラブの政治部門(註:生活クラブ生協連合会の代理人運動部門)である東京・生活者ネットワークは、(1985年より)都議会に議席を持っている。国政でも生活者目線での政治の受け皿が必要だと思う。
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